Foveon高感度設定による粒子表現

 

 4.Foveon高感度設定によるデジタル粗粒子写真 ー A)FoveonのISO設定の最適化

 
Foveonセンサーを用いて高感度ISO6400に設定して撮影した画像を、
さらに高コントラスト化することで、
デジタル画像であっても、フィルム写真のように粗粒子化を行えることを確認した。

しかし、Foveonを最大のISO6400に設定して撮影して高コントラスト化した場合には、
低いISOでは見られなかった、長辺方向の帯状パターンのノイズが生成した。
 
粗粒子化写真を得るためには、全体としてノイズの多い画像が望ましいが、
パターン化したノイズの生成は、写真としての質を低下させてしまう可能性が大きい。
 
この帯状パターンのノイズが、どの程度に写真の質を損なうのか、
FoveonをISO6400に設定し、実際の風景を撮影して、
高コントラスト化した写真を、確認してみた。
 
画像全体としては、帯状パターンのノイズは、ほとんど目立たなかったが、
拡大してみると、やや気になるレベルであり、写真の質として若干劣ると判断した。

  Sigma sdQuattroH, 24mmF1.4DG Art Sigma PhotoPro, DxO FilmPack
  

  

 
  このようなパターン化したノイズが発生する原因としては、
  撮像センサーのハードウェア構造に由来するか、
  撮像センサーからの出力の画像エンジンによる画像処理に由来するか、
  いずれかと思われる。
 
  Foveon撮像センサーのハードウェア構造に関しては、
  (株)シグマから出願の特許、日本公開2018-019162で解決手段として、
  「撮像センサの多数あるフォトダイオードの一部を低感度にする」
  との記載がある。
 
  この公開特許の図解では、
  4×4ドットに1つ、他と異なる感度のフォトダイオードを配置している。
 
  Foveonを高感度に設定して撮影した画像に見られる帯状のパターンノイズは、
  4×4ドットの間隔では発生しておらず、
  「撮像センサーの一部を低感度にする」ことが原因とは言いきれない。
 
  従って、この帯状のパターンノイズの発生原因は不明なため、
  対処方法は、試行錯誤するしかないと考えられる。

 
 
 
  日本公開特許2018-019162より 

 

Foveonを最大のISO6400に設定した場合の、長辺方向の帯状パターンのノイズについて、
感度の設定を若干低くすることで、低減できないか検討することにした。
 
Foveonで、感度ISOを1600、3200、6400に設定して撮影し、
モノクロ化、トーンカーブで高コントラスト化、微細コントラスト増大、を行った。
 
ISO3200の設定までは、長辺方向の帯状のノイズはほとんど認められなかったが、
ISO6400に設定すると、帯状のノイズは顕著に認められた。
 
一方で、ISO1600では、粒状化の効果が全く感じられず、
ISO3200で、粒状化の効果がわずかに感じられる程度だった。
 
従って、ISOの設定は、
帯状ノイズ排除のためには、3200以上で6400より下が、好ましいと考えられるが、
粒状化の効果を得るためには、3200以上が必要と考えられる。

  Foveon ISO1600+高コントラスト化 Sigma sdQuattroH, 24mmF1.4DG Sigma PhotoPro, DxO FilmPack
 

  Foveon ISO3200+高コントラスト化
 

  Foveon ISO6400+高コントラスト化
 

Foveonを高感度に設定して粗粒子化させる場合に、
粒状化と、帯状パターンのノイズ発生抑制とを、両立のためには、
ISOの範囲は、3200から6400の範囲内にある。
 
FoveonでISOが、3200、4000、5000、6400の撮影画像を、
モノクロ化、トーンカーブ等で高コントラスト化した結果、わかりにくい被写体だったが、
帯状パターンのノイズは、ISO5000以下でほぼ発生せず、
粒状化の効果は、ISO5000以上が必要だった。
 
従って、FoveonセンサーでのISOの設定は、5000が好ましいと考えられる。

Foveon ISO3200+高コントラスト化  Sigma sdQuattroH, 24mmF1.4DG Sigma PhotoPro, DxO FilmPack
 
 
Foveon ISO4000+高コントラスト化
 
 
Foveon ISO5000+高コントラスト化
 
 
Foveon ISO6400+高コントラスト化
 
 
 

 4.Foveon高感度設定によるデジタル粗粒子写真 ー B)ISO5000の効果

 
FoveonセンサーをISO5000に設定して撮影し、高コントラスト化等を行った画像について、
粗粒子フィルム写真、一般的センサーのモノクロ化画像とで、比較を行った。
 
元の画像を拡大して見ると、Foveon高感度設定の画像は、
フィルムの粗粒子写真に比較するとやや粒子が小さかったが、ともに粒状で表現されていたのに対し、
一般的センサーでのモノクロのデジタル画像は、滑らかで平板な描写で、粒状感は全く感じられなかった。
 
FoveonセンサーをISO5000にして高コントラスト化等を行うことで、
フィルムの粗粒子写真に極めて近い、
離散的でバラツキがある粒子で構成される画像となることを確認できた。

FoveonをISO5000で高コントラスト化
 sdQuattroH, 24mmF1.4, PhotoPro, DxO

 フィルムを高温現像した粗粒子写真
  FM3A, 24mmF2, Tri-X, D-76 30℃

一般的センサーで撮影し、モノクロ化
 α9, 24mmF1.4, SILKYPIX Developer

 

 4.Foveon高感度設定によるデジタル粗粒子写真 ー C)ISO5000での作例

 
FoveonセンサーをISO5000に設定して撮影し、高コントラスト化等を行って得られる、
デジタル粗粒子写真の作例を以下に挙げた。
 
離散的でバラツキのある粗粒子で表現されるとともに、帯状パターンのノイズもほぼ認められなかった。
 
  なお、帯状パターンのノイズが目立たないようにするために、絞り込んで、パンフォーカスになるようにしている。

      Sigma sdQuattroH,12-24mmF4.5-5.6II DG, Sigma PhotoPro, DxO FilmPack
 

      



 

      

10 Feb. 2020  

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